アップルストアのスタッフといえば、1,700円を超える高時給で知られている。

Apple Store心斎橋店の店舗内。
あのビッグテック企業のAppleの直営店舗だから、さぞかし待遇はいいんだろうと俺は思ってた。
でもApple Storeの店頭で働くスタッフはあくまで末端であり、
- 昇給・昇進の機会がほぼない。
- 客とファースト・コンタクトするから、質の悪いクレーマー客の処理もあり。
- Appleは給料がいいけど、店舗のスタッフに限っては時給が低くなっている。
➡︎Apple内での給与格差がひどい
━━などなど、Apple Storeのスタッフは決して将来が安泰という仕事でもないらしい。
とはいえ、日本だと高時給であることは間違いないし、外国籍の多種多様な同僚と働くこともできる。
Apple Storeでの勤務経験は履歴書的にもムダにならないはず。
そう思って面接を受けたんだけど、
面接の内容や対策などを暴露していく。
俺が応募したのはJP-Specialist
Appleの公式採用サイトはこちら。
Appleの公式採用サイト
俺が応募したのはJP-Specialist。
要は、Apple Storeの店舗内で接客して働くスタッフのこと。
他にもエンジニアや、ブランドマネージャーなどの募集もあるけど、大したIT知識も経験もない俺にはどんな仕事なのかさえわからない。
応募方法
まずはAppleの公式採用サイトから、「履歴書を送信」をクリック。
次に、自分のApple アカウントIDの入力を求められる。
アカウントにログインすると、採用のマイページに自動的に移動する。

このページで履歴書などを提出できる。
ここで俺が提出したのは、以下の3つ。
- ①履歴書(日本語)
- ②履歴書(英語)
- ③自己PR動画
①履歴書については、コンビニで売られているようないわゆるJIS規格の履歴書をデータで作って送信すればOK。
おそらく必須なのは履歴書のみなんだけど、これだけではこころもとない。
ということで、俺は②英語の履歴書と③自己PR動画を提出した。
②英語の履歴書については決まったフォーマットがないようなので、ネットに転がってる英語の履歴書のフォーマットを借用して書いた。
参考にしたサイトはこれ。
読まれる英文履歴書(レジュメ)の書き方。サンプルダウンロード付き
英文履歴書のフォーマットもダウンロードできたので、これに従って書いた。
③履歴書だけではパンチが効かなくて埋もれてしまうと思ったので、自己PR動画を撮影してみた。

自己紹介と自己PRを兼ねた1分程度の動画を撮ってみた。
この動画をYouTubeに「限定公開」し、URLを知っている人だけが閲覧できるようにしておいた。

YouTubeに限定公開した。
「公開」をクリックしてしまうと、誰でも見れるようになってプライバシーダダ漏れになるので要注意。
動画の内容は、
私は日頃からApple製品を使っています! Appleへの愛は負けません!
━━みたいなことをカメラに向かってしゃべった。
接客スタッフを採用しているんだから、俺がしゃべっている姿を見せるのが大事だと思ったからだ。
- ①履歴書(日本語)
- ②履歴書(英語)
- ③自己PR動画
━━俺はこの3つを提出することで、1次面接のチャンスをもらった。
自己PR動画は必須でもなんでもないけど、Apple Storeには相当多数の応募者がいるだろうから、少しでも目立つ努力は必要かも。
1次面接
実は、俺が応募してから3ヶ月後にAppleから面接の案内メールが届いた。
「おっそ」と思ったし、応募したこともほとんど忘れてたんだけど、貴重なチャンスなので面接を受けることにした。
オンライン面接は担当者と1対1で、時間は30分ほど。
「Webex Meetings」という初めて見るアプリで面接が実施された。

面接はかなりあっさりした内容で、職歴については大して深く聞かれなかった。
俺は前職のメーカーを半年で辞めてるんだけど、それについても深いツッコミはなかった。
やっぱり人手は足りてるっぽいので、じっくり応募者をえらんでるらしい。
面接官いわく、実際に働くまで数ヶ月待たされることもあるらしいので、すぐに働きたい人には不向きだろう。
聞かれたこと
面接で聞かれたのは、主に以下の3つ。
- ①Apple Storeに行ったことはありますか?
また、Apple Storeのスタッフの接客についてどう思いましたか? - ②お客様に対して、期待値を超える接客をしたエピソードを教えてください。
- ③ホテルやカフェなどいろんな場所で接客を受けると思いますが、「これはいい接客だな」と思ったエピソードを教えてください。
俺は過去に家電量販店に勤務してたので、その時の接客について深く聞かれた。
①に対しては、
「他の家電量販店では店員が一方通行で話しかけてくることがあるけど、Apple Storeのスタッフは会話ベースでちゃんと双方向の接客をしてくれます」
━━と答えておいた。
これはけっこうウケがよかった。
②に対しては、
「(家電量販店で勤務してたときに)よく来店されるけどどのパソコンにするか決めかねている法人様がいたので、業務のあいまにその法人様のニーズに合うスペックのパソコンを網羅して、見積もりを複数作っておきました」
━━というお客さまの期待値を超えた接客エピソードを話した。
かなり「盛った」エピソードで実際はそんなカッコいいものじゃないんだけど、まったくの作り話ではないので違和感なく伝えた自信がある。
③については全く思いつかなかったので、「寒い季節にホテルに泊まったときに、ホテルマンが暖かいカイロをくれた」というその場ででっちあげたうっすいエピソードを話してしまったのが、よくなかったかもしれない。
ちなみにレベルの高い接客で有名な「ザ・リッツ・カールトン」にはこんな接客エピソードがあるらしい。
新婚旅行のカップル。
夫が指輪をビーチでなくしてしまい、スタッフで一度探したが見つけられなかった。
カップルが落ち込んでいるのを見て、スタッフが$2000で金属検知器を購入し、夜な夜な結婚指輪を探した。
その結果、朝までに指輪を見つけて、お客様にお返しすることができた。
お客様は想像の通りかなり喜ばれて、感動のあまりメディアにもその話をした。
(引用サイト)
こんなめんどくさい接客、俺は絶対にしたくないけど、かなりインパクトのある接客エピソードだ。
感動の接客エピソードはいろいろネットに転がってるので、それを適当にアレンジして話すのがいいと思う。
逆質問
面接の最後に逆質問の時間があったので、俺が個人的に気になってたことを聞いた。
「Apple Storeにはインセンティブがないと聞きましたが、本当ですか?」
アップル 驚異のエクスペリエンスという本に書かれたことなんだけど、Apple Storeはいくら商品を売ってもインセンティブで給料が増えることはないらしい。
面接の担当者も、
インセンティブは基本的にありません。
インセンティブがあるとお客様にとって必要ない商品を売ってしまう可能性があり、お客さまのエクスペリエンスを損なうからです。
━━とはっきり答えてくれたので、この点は本当らしい。
俺が勤務してた家電量販店は、「この商品を売れば基本給に+1,000円!」というようにバリバリのインセンティブがあったので、うらやましく感じた。
Apple Storeの接客は「なれなれしい」とか悪く言われることも多いんだけど、
━━という事実はもっと広く知られるべし。
家電量販店にはインセンティブ欲しさに、特定の商品をゴリ押ししてくる店員がいるんだ。
Apple Storeの経営の秘密について知りたい人は、この本、おすすめです。
落ちた
面接の3日後に、「お祈りメール」が届いたので、無事に不合格だった。
自分ではそこそこうまくいった気がしたんだけど、ダメだった。
本当のところはわからないけど、人手が足りているようだったのでかなり採用基準は厳しかったんじゃないかと思う。
1次面接は本当にあっさりした雰囲気で、過去の職歴については深く聞かれなかった。
さっき解説した、接客に関する3つの質問にきちんと答えられるかどうかが、合否をわけるんだと思う。
Apple Storeのスタッフの採用基準としては、
そういえば、1次面接ではApple製品についての知識はまったく聞かれなかった。
Apple Storeは知識オタクよりも接客のプロを求めているらしい。
これから面接を受ける人は、接客については要勉強のうえ、チャレンジしてほしい。