Small+α すもぷら

昨日までの自分に小さな+αを足していくブログ

いろんな小説のセックスシーンを集めてみた【随時更新中】

小説 セックスシーン集

なぜか分かりませんが、ふと「古今東西の小説に登場するセックスシーンを集めてみたら面白いのではないか」というアイデアが降ってきました。

 

深夜に思いついただけのゲスいアイデアかと思いきや、意外と他にやっている人がいないようなので、やってみることにします。

まだ少ないですが、そのうち追加していきますので、長い目で見守ってください!

 

ぜひ夜のお供に……。

 

 

『新世界より』貴志祐介 

 

1000年後の日本を舞台にした長編SF。

時代は違えど、人間のセックスは今と変わりません。

1000年後の日本をイメージしながら読んでみてはいかがでしょう。

その晩、かまくらの中で、わたしたちは結ばれた。

生まれて初めて男性の侵入を受けたとき、予想外の痛みがあった。真里亜との間では、豊富な性体験があったが、男女の間の性行為はまったく意味合いが違うことを、文字通り、痛感させられたのだ。

「だいじょうふ? 痛い?」

途中で動きを止めて、覚が、訊く。

「う……ん。ちょっとだけ、待って。すぐ慣れるから」

わたしは、歯を食いしばって答えた。

男と女は、どうしてこう不公平にできているのだろう。わたしは、心の中で文句を言う。女性は、四十週にも及ぶ妊娠期間中、ひたすら不便を堪え忍んだ上に、男性にはとうてい我慢できないほどの痛みに耐えて、出産しなければならないj。それなのに、なぜ、性行為にまで苦痛が付きまとうのか。

「無理しなくてもいいんだよ」

「平気。……覚は、痛くないの?」

「全然」

それから、ふと気がついた。覚はわたしがひどく痛がっていることは百も承知なのに、いっこうに興奮は収まっていない。わたしの苦痛に同情するどころか、まるで、そのことに快感を覚えているようではないか。なんて、ひどい奴だろう。

だが、しばらくすると、痛みは徐々に和らいでいった。かつてないほど、潤っているのを感じる。一方的に征服される立場に、歓びを感じているのは、わたしの方だった。

わたしが、思わず声を漏らすと、覚は、「気持ちいい?」と訊く。

「馬鹿」

訊かずもがなの質問である。わたしは、答えの代わりに、彼の背中を引っ掻いた。

これでもう、処女ではなくなってしまったのだから、次回の身体検査をどう乗り切るか、考えておかねばならない。つくづく、こちらにばかり、問題が降りかかってくるようになっている。

覚の動きが、激しくなってきた。快感の渦に呑み込まれそうになりながらも、ちょっと待ってと、わたしは慌てる。妊娠してしまっては、本当に、困ったことになるからだ。

だが、わたしが制止する前に、覚は、ぴたりと動きを止めた。

一瞬、避妊のことを考えてくれたのかと思ったが、そうではなかった。

覚は泣きそうなくらい愛おしげな目で、わたしを見下ろしている。

わたしは、ほとんど直感で悟った。彼のこの表情は、わたしに向けられたものではない。なぜかはわからない。だが、覚が私の中に見ていたのは、彼が愛してやまなかった、一人の男の子の面影なのだ。

同時にそれは、わたしが、心の底から恋い焦がれていた少年のものでもあった。

覚は、再び、動きを加速した。

わたしもまた、さっきまでとは比較にならない速度で上り詰めていく。わたしを逞しく貫いているのも、もはや、覚ではなく、別の少年のイメージに変わっていた。

わたしたちは、お互いを媒介にし、すでにこの世にはいない男の子と愛を交わしていた。それは、とんでもなく異常な行為だったかもしれないし、お互いに対する裏切りと言えるかもしれない。でもわたしたちは、二人とも、そのことを承知し、そして望んでいたと思う。

わたしが、絶頂を迎えた直後、覚は、転がるようにわたしから離れ、かまくらの雪壁に精を放った。

 

『悪の教典』貴志祐介

 

 

相手は女子高生なので、当然犯罪ですが、想像するだけなら無罪。

電話に出ながらセックスするという、ながら系セックスなので、声を出してはいけないという緊張感があるのが見所。

蓮実は、美彌と繋がったまま、電話に出た。酒井教頭からだった。

「もしもし。蓮実です」

「蓮実先生。今、どこなの?」

……ホテルの館内を見回ってるところです。他のフロアで、迷惑をかけている生徒がいないかと思いまして」

蓮美は、ちょうど、早足で歩いているような息づかいになっていた。

「すぐ、4階に戻ってください。部屋で缶ビールを飲んでた生徒を、柴原先生が見つけて騒ぎになってるんですよ」

「わかりました」

蓮美は、電話を切った。

「美彌は、今日は安全は日だったよな?」

蓮実が何をするつもりか気がつき、美彌が「だ、だめ!」と叫んだ時には、蓮実は、獣のように激しく動いて、彼女の中に射精していた。

 

『憂国』三島由紀夫

 

軍人とその妻が人生の最後に行ったセックスです。

このセックスシーンの後、二人は自殺します。

三島由紀夫の濃密で古典的な文章で描かれるセックスシーンは圧巻。

日本語ってこんなエロかったんだ……と思うこと間違いなしです。

 

中尉は烈しく妻を掻き抱いて接吻した。二人の舌は相手のなめらかな口の中の隅々までたしかめ合い、まだどこにも兆していない死苦が、感覚を灼けた鉄のように真っ赤に鍛えてくれるのを感じた。まだ感じられない死苦、この遠い死苦は、彼らの快感を精錬したのである。

「お前の体を見るのもこれが最後だ。よく見せてくれ」

と中尉は言った。そしてスタンドの笠を向うへ傾け、横たわった麗子の体へ明りが棚引くようにしつらえた。

麗子は目を閉じて横たわっていた。低い光りが、この厳そかな白い肉の起伏をよく見せた。 中尉はいささか利己的な気持から、この美しい肉体の崩壊の有様を見ないですむ倖せを喜んだ。 中尉は忘れがたい風景をゆっくりと心に刻んだ。片手で髪を弄びながら、片手でしずかに 美しい顔を撫で、目の赴くところに一つ一つ接吻した。富士額のしずかな冷たい額から、ほ のかな眉の下に長い睫に守られて閉じている目、形のよい鼻のたたずまい、厚みの程のよい 端正な唇のあいだからかすかにのぞいている歯のきらめき、やわらかな頬と怜悧な小さい顎、 ......これらが実に晴れやかな死顔を思わせ、中尉はやがて麗子が自ら刺すだろう白い咽喉元 を、何度も強く吸ってほの赤くしてしまった。唇に戻って、唇を軽く圧し、自分の唇をその 唇の上に軽い舟のたゆたいのように揺れ動かした。目を閉じると、世界が揺籃のようになった。

落ちる腕の美しさ、それが帯びている丸みがそのままに手首のほうへ細まってゆく巧緻なすがた、そしてその先には、かつて結婚式の日に扇を握っていた繊細な指があった。指の一本 一本は中尉の唇の前で、羞らうようにそれぞれの指のかげに隠れた。......胸から腹へと辿る 天性の自然な括れは、柔らかなままに弾んだ力をたわめていて、そこから腰へひろがる豊か な曲線の予兆をなしながら、それなりに些かもだらしなさのない肉体の正しい規律のようなものを示していた。光りから遠く隔たったその腹と腰の白さと豊かさは、大きな鉢に満々と 湛えられた乳のようで、ひときわ清らかな凹んだ癖は、そこに今し一粒の雨滴が強く穿った 新鮮な跡のようであった。影の次第に濃く集まる部分に、毛はやさしく敏感に叢れ立ち、香 りの高い花の焦げるような匂いは、今は静まってはいない体のとめどもない揺動と共に、そのあたりに少しずつ高くなった。

ついに麗子は定かでない声音でこう言った。

「見せて......私にもお名残によく見せて」

こんな強い正当な要求は、今まで一度も妻の口から洩れたことがなく、それはいかにも最後まで慎しみが隠していたものが迸ったように聞かれたので、中尉は素直に横たわって妻に体を預けた。白い揺蕩していた肉体はしなやかに身を起し、良人にされたとおりのことを良人に返そうという愛らしい願いに熱して、じっと彼女を見上げている中尉の目を、二本の白い指で流れるように撫でて瞑らせた。

麗子は瞼も赤らむ上気に頬をほてらせて、いとしさに堪えかねて、中尉の五分刈の頭を抱きしめた。乳房には短かい髪の毛が痛くさわり、良人の高い鼻は冷たくめり込み、息は乳房に熱くかかっていた。彼女は引き離して、その男らしい顔を眺めた。凜々しい眉、閉ざされた目、秀でた鼻梁、きりりと結んだ美しい唇、......青い剃り跡の頬は灯を映して、なめらかに輝やいていた。麗子はそのおのおのに、ついで太い首筋に、強い盛り上った肩に、二枚の楯を張り合わせたような逞ましい胸とその樺色の乳首に接吻した。胸の肉附のよい両脇が濃い影を落している腋窩には、毛の繁りに甘い暗鬱な匂いが立ち迷い、この匂いの甘さには何かしら青年の死の実感がこもっていた。中尉の肌は麦畑のような輝やきを持ち、いたるとこ ろの筋肉はくっきりとした輪郭を露骨にあらわし、腹筋の筋目の下に、つつましい臍窩を絞っていた。麗子は良人のこの若々しく引き締った腹、さかんな毛におおわれた謙虚な腹を見ているうちに、ここがやがてむごたらしく切り裂かれるのを思って、いとしさの余りそこに泣き伏して接吻を浴びせた。

横たわった中尉は自分の腹にそそがれる妻の涙を感じて、どんな劇烈な切腹の苦痛にも堪えようという勇気を固めた。

こうした経緯を経て二人がどれほどの至上の歓びを味わったかは言うまでもあるまい。中尉は雄々しく身を起し、悲しみと涙にぐったりした妻の体を、力強い腕に抱きしめた。二人は左右の頬を互いちがいに狂おしく触れ合わせた。麗子の体は慄えていた。汗に濡れた胸と胸とはしっかりと貼り合わされ、二度と離れることは不可能に思われるほど、若い美しい肉体の隅々までが一つになった。麗子は叫んだ。高みから奈落へ落ち、奈落から翼を得て、又目くるめく高みへまで天翔けった。中尉は長駆する連隊旗手のように喘いだ。……そして、ひとめぐりがおわると又たちまち情意に溢れて、二人はふたたび相携えて、疲れるけしきもなく、一息に頂へ登って行った。

 

 

『城』カフカ

 

そのKが宿のカウンターの下で、見知らぬ女(娼婦?)とやっちゃうシーン。

感情が描写されない淡々としたセックスシーンは、かえってエロいものです。

「好きな人! わたしの大好きな人!」と、彼女はささやいたが、Kのからだにはふれなかった。恋のために気が遠くなったみたいに仰向けに寝ころんで、両腕をのばしていた。これからはじまる愛の陶酔をまえにしては、時間も無限であるらしかった。なにやら小唄を口ずさんだが、うたっているというよりもため息をついているという感じだった。やがて、Kがいつまでもだまって考え事にひたっていたので、やにわに身を起こすと、子供がするようにKを引っ張りはじめた。

「いらっしゃい。こんなところじゃ、息がつまってしまってよ」

ふたりは抱き合った。Kの腕の中で、小さな体が燃えた。彼らは、失神したような状態でころげまわった。Kは、この失神状態からたえずぬけだそうとこころみたが、どうにもならなかった。しばらくころげまわっているうちに、どすんとにぶい音をたてて部屋のドアにぶつかった。それからは、こぼれたビールの水たまりや床一面にちらばったごみのなかに寝ころんでいた。そうして、ふたりの呼吸と心臓の鼓動がひとつになった何時間かがすぎていった。