ホラー小説好きの人でも、この小説は初耳の人が多いんじゃないでしょうか。
実は、この小説、Twitter的な世界を予言している気がするんですよね。(めっちゃ個人の見解ですが)
1997年、第4回日本ホラー小説大賞にて短編賞受賞の小説です。
20年以上前の小説ですが、正直言って期待ゼロで読みました。
それがぐんぐん物語に引き込まれて、気づけば1時間ほどで読了してしまいました。
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一言あらすじ
ゴミの集積地である橋で、ある一人の少年がカセットテープに自分の壮絶な人生を音声にして残した。
そのカセットテープを大人たちが聞くというだけの話。
1時間で読める!
わかりますか?この小説のほとんどは少年のひとりごとなのです。
なので、ほとんどのページの下半分が真っ白!
ああ、たぶん手抜き小説だなと思いますよね。だから僕は期待してなかった。
でも、読みやすいのに衝撃的なのです!まったくもって手抜きではありませんでした。
ラノベでも、ここまでページがスカスカなのは珍しい。
正直、マンガよりも早いスピードでページをめくれます!
ページ数も文庫本で160ページなので、1時間で読めます。
ツイッターの出現を予想していた?
この小説では、延々と少年の細切れのひとりごとが続きます。
少年は、自分のカスみたいな生き様を言葉にしてカセットテープに吹き込むわけです。
カセットテープにはやはり時代を感じますけどね。笑
ここで、さっきの画像の文章をもう一度見てください。
Twitterをやってる人の気持ちって、みんなこんな感じですよね。
「俺はここにいる」
「俺はここで、息をしてる」
「俺がここにいることを分かってくれ」
少年はこんな訴えをカセットテープに吹き込みます。
自分の存在を認めてほしい、承認してほしい……。
今や、Twitterはお互いの存在を慰めあうバーチャル空間になっています。
時代設定が古いので、この物語ではTwitterがカセットテープになっているだけ。
この小説は、承認欲求に飢えた思春期の青年を見事に描いているのです。
しかも!
この青年は、自分の体をわざと傷つけてその怪我を実況中継したり、わざと過激なことをやって自分の命を危険にさらしたりします。
なんのために?
カセットテープを聞く人の注意を引くために、です。
これ、「いいね」を増やそうとするあまり、コンビニの冷蔵庫に入ったりするような、いわゆる「バカッター」と全く同じ原理だと思いませんか。
この小説がすごいのは、承認欲求を求めるあまり、過激な行動に走ってしまう若者の猟奇的な感情を淡々と描いているところなんです。
そしてラストは━━
これはみなさんで読んでほしい。
TwitterをはじめSNSをやっている人たち(つまり、この記事を読んでいるあなたのこと)であれば、起こりうるラストになっています。
まとめ
今となっては、ほぼ忘れられた小説ですが、Twitter全盛期の今こそ、読み直す価値があると思います。
現在は、電子書籍化されているので、Amazonからの購入をおすすめします。
Kindle版の価格は318円。 手頃な価格なのでぜひ!