今回はかなり難しい小説を紹介します。
いやー、この本は読むのたいへんだった……。
1.サルトル『嘔吐』
サルトルが、1938年に書いた小説。
第二次大戦よりも前の小説なのに、今も読まれ続けているなんてすごい。
一言あらすじ
無職の30歳男が、フランスの港町で悩みながら生き、何度も吐き気に襲われる話。
無職の中年男が主人公
哲学的小説なので難しいと思われがちですが、物語は簡単。
30歳男が港町をうろついているだけの話ですから。
殺人事件が起こるわけでもありません。
この男がまた悲惨なんです。
ぜんぜん定職につこうとせず「もう少し自分探しをしているうちに、やりたいことが見つかるはずだ」と逃げ続けていたら、いつの間にか30歳になっていたという男。
2.何度も吐き気に襲われる
男は何度も吐き気に襲われます。この吐き気の正体は何なのか?
これが重要な伏線になってきます。
引きこもりがちなこの男が、外に出ると何度も吐き気が起こります。
腹の底から盛り上がってくるような、グググっとした吐き気が。
その正体はラストで明かされます。
男が吐き気の正体に気づくシーンは、小説界だけでなく哲学界でも超有名なシーンです。
その後、男は救済?されて、自分のすべきことを見つけます。
目的のない引きこもり生活がめでたく終わるところで、この小説は幕を閉じます。
3.ジャズ音楽は治療薬
小説の途中で、とあるジャズ音楽が登場します。
この音楽を聞いた男は、世界がまだ希望に満ちていることに気づき、無目的な引きこもり生活から救済されます。
そのジャズ音楽がこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=ijmpTlN3HRI
なぜこのジャズ音楽のおかげで引きこもり男が救済されたのか?
ここがわけわからなくて難しいんですよね。
一応、僕の解釈としては、こうです。
音符の実存に感動した主人公は、救済されたのではないか。
あとは、哲学でサルトル研究している人にお任せします。
4.『嘔吐』が最近、若者の間で人気?
最近『嘔吐』が若者の間で人気が出ているそうです。
特に、最近はインターネットの負の影響を受けて、リアルの対人関係が苦手な若者が多いですよね(僕も含めて)。
そういう人たちによく読まれているそうです。
「あ、この30歳の男主人公は俺のことだ!」みたいに、共感する人が多いのかも。