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村上春樹の短編おすすめランキングベスト15【ミニ・ハルキワールド】

村上春樹 おすすめ 短編 ランキング
 
村上春樹は長編ばかりが有名ですが、実は短編もウマイ作家です。
 
 
村上春樹の長編は長すぎます。

『1Q84』が、文庫本で6冊は長すぎるよね。
 
しかし、短編ならサクッと読めますし、
ミニ・ハルキ・ワールドを楽しみたいなら、長編より短編を読むべきでしょう。
 
短編は「短くて、何度でも読み返せる」ので、Kindleなどに入れて、スキマ時間につまみ読みするのがいいかな、と思います。
 
 
では、ミニ・ハルキ・ワールドへ出発しましょう。

村上春樹の短編ランキングベスト15

さっそく、1位から発表していきます。

1位 パン屋再襲撃

パン屋再襲撃は、この本に収録されています。▲)
 
とある夫婦がとつぜん、空腹を満たすためにパン屋を襲撃するという、奇妙なストーリーです。
 
 
けっきょく、パン屋ではなくマクドナルドを襲うことになるのですが、それもジャンクフードを大量に消費する大量消費社会への反逆がモチーフなのかもしれません。
 
 
とても奇妙な話で、ほぼコメディーです。
 
ただ、時々、海底火山の描写がはさまれるのですが、それがとても印象に残ります。
 
 
100%透明の海の底に眠る海底火山。
 
海底火山の上をボートで漂う主人公は、何を思うのか?

海底火山はいつか爆発する「なにか」のメタファーなのかもしれません。
 
なぜかわからないけど、何度でも読んでしまいます。(病みつきになる…)
 
 
ちなみに、絵本版では、海底火山のシーンが絵になっています。▼

2位 4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

(4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについてはこの本に収録されています。▲)
 
村上春樹の短編の中で、おそらくもっとも有名な作品。
 
 
ボーイミーツガールの話ですが、構成がうますぎる。
 
世にある恋愛小説、ハリウッドの恋愛映画も含めて、恋愛をテーマにしたフィクションはすべてこの『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』の二番煎じです。
 
 
新海誠の『君の名は』も、この短編が原型と言えるはず。
 

恋愛小説の本質を、たった数ページで表現してしまうとは……。
 
これほどの完成度の短編は、「作家が一生の内に一度書けるか書けないか」というレベルです。
 
 
もはや、これを読むのは、国民の義務。
たった4ページで人生観が変わる短編を3つ紹介しよう

3位 象の消滅

 
動物園のゾウが、ふと消えてしまうというストーリー。
 
 
ミステリー小説や名探偵コナンなら、ゾウが消えた理由を、密室トリックなどを用いて解明するところですが……。
 
 
村上春樹は、

謎を解明しません。
謎をもっと謎にして、読者にゆだねてしまうのが村上春樹なのです。
 
スッキリしないかもしれませんが、自分の頭で自由に考えるのが楽しいですよ。
 
 
僕は、ゾウが消えた瞬間は誰も見ていない、つまり、
原因が結果に変わる瞬間は誰も見ることができないが、結果だけは誰でも見ることができる。
──と、解釈しました。
 
あなたはどう思いますか?

4位 ハナレイ・ベイ

(ハナレイ・ベイはこの本に収録されています。▲)
 
女性主人公が、ハワイのハナレイ・ベイでサメに右足をかじられて死んだ息子を回想するストーリー。
 
 
息子をなくした母が、自分の心に折り合いをつけていく流れを描いています。
 
僕が印象に残ったのは、現地の警察みたいな人が、

「たしかにあなたの息子はハワイで死んだ。でも、だからといって、この地を嫌いにならないでくれ」
──と言うシーン。
 
女性主人公は、その後も毎年、息子が死んだハナレイ・ベイを巡礼します。
 
彼女がどう思っているのかは、よくわかりません。
 
とても味わい深い、静かな短編です。
 
たまらなく、好き。

5位 シェエラザード

(シェエラザードはこの本に収録されています。▲)
 
好きな男子の家にこっそり侵入して、その男子の持ち物を盗む女の子の話です。
 
 
男子のえんぴつを持って帰って、それをなでたり、しゃぶったり……。
 
 
男子の持ち物を盗むだけでは「空き巣犯」になってしまうので、女の子は未使用のタンポンを、男子の机の引き出しの奥に入れておくことに決めます。
 

男がやると100%変態性欲小説になりますが、女性がやると不思議と気持ち悪くないですね…
 
ちょっと反社会的でフェティシズム的な小説です。
 
川端康成に『みずうみ』という、これまた変態的だけど、キレイな小説があるのですが、僕はそれを思い出しました。

 
変態的に思える行為でも、やる人によってはキレイに見えるもんですね……。

6位 加納クレタ

(加納クレタはこの本に収録されています。▲)

 
加納クレタという女性主人公ですが、彼女は、

あらゆる男から、必ずレイプされる
──という恐ろしい運命を背負っています。
 
隣の家を消火しにきた消防士にもレイプされます。
彼女は、人の体の中にある水の音を聞くことができるのですが、どうやら彼女の体の中にある水が、男を狂わせているようです。
 
 
「水とセックス」には、どんな関係があるのでしょうか?
 
 
セックスとはお互いの粘液を交換する行為ですし、セックスと水とは意外と近い関係にあるのかもしれませんね……。
 
 
ちなみに、哲学者のサルトルは『水いらず』という小説で、性の問題を不気味な粘液として描いています。▼

 

7位 日々移動する腎臓のかたちをした石

(日々移動する腎臓のかたちをした石はこの本に収録されています。▲)
 

「男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない」

──という父からの言葉を真に受けるストーリーです。
 
 
主人公は、付き合った女性が「自分にとって意味を持つ女にカウントされるかどうか」を、吟味しながら生きているわけですね。
 
 
「あ、この女は俺にとって意味を持つ女ではない」と判断したら、さっさと音信不通にする、というなかなかゲスいこともやってます。
 
 
でも、音信不通になったあとで、「あ、あの人は自分にとって大事な意味を持つ人だったんだ」と気づくこともありますよね。
 
でも、もう遅い。
 
意味を持つ女性を3人逃したら、スリーアウト、ゲームセットです。

8位 氷男

(氷男はこの本に収録されています。▲)
 
スキー場で出会った氷男と結婚するストーリー。
 
 
ふとしたことから、氷男と南極に旅行することになるのですが、南極に着くと氷男の様子がおかしくなります。
 

氷男にとって、南極は故郷だったんですね。
主人公は放ったらかしにされてしまって、氷男は南極に閉じこもるようになります。
 
 
この短編の教訓は一つ。
へたに夫婦旅行すると、相手の故郷を見つけてしまう恐れがある。
──ということです。

9位 偶然の旅人

(偶然の旅人はこの本に収録されています。▲)
 
主人公はゲイです。
 
 
ゲイをカミングアウトすることで、不和になっていた周囲の関係がよくなっていくというストーリーです。
 
村上春樹がゲイを正面から描くのは珍しいですね。
 

まるで真っ昼間に打ち上げられた花火のように、かすかに音はするんだけど、空を見上げても何も見えません。しかしもし僕らのほうに求める気持ちがあれば、それはたぶん僕らの視界の中に、ひとつのメッセージとして浮かび上がってくるんです。

──という一文は、ゲイの存在を村上春樹的に表した名文です。
 
ゲイはまだまだ一般的に受け入れられているとは、いいがたいです。
 
ゲイを理解するには、昼間に打ち上げられた花火を見る努力が必要なのかもしれませんね。

10位 緑色の獣

(緑色の獣はこの本に収録されています。▲)
 
地面から這い上がってきた緑色の獣が、女性の家にプロポーズしに行くストーリーです。
 
 
この緑色の獣というのがよくわからないんですが、なんとなく僕はシュレックをイメージしました。
 
 
で、このシュレックは、「あなたにプロポーズをするために、地の底から這い上がってきたのだ」と言います。
 
女性は、想像の中で、シュレックを包丁で刻んで拷問します。
 
すると、想像の中で拷問しているだけなのに、シュレックが苦しむんですね。
 

パワーではかなわない女性が、想像力を武器に外敵を打ち倒すという話なんでしょうか?
 
ぶっとんだストーリーですが、なぜか強烈に記憶に残ります。

11位 ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles

(ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatlesはこの本に収録されています。▲)
 

「2度にわたる2人の出会いと会話は、彼らの人生のどのような要素を象徴的に示唆していたのでしょう?」

──という国語の問題文がキーになる、恋愛小説です。
 
 
村上春樹が70歳をこえて書いた短編ですが、びっくりするくらい昔のままですよね。
 
村上春樹の文章って、ほんとに古びないし、老けない。
 
村上春樹が書くのだから、めでたくハッピーエンドなわけがないですが、ほろ苦いビター・エンディングのほうが記憶に残ります。

12位 かえるくん、東京を救う

(かえるくん、東京を救うはこの本に収録されています。▲)
 
ある日、部屋にしゃべるカエルがやってくるというストーリー。
 
 
そのカエルくんと協力して、東京に起こるはずだった「東京大震災」を防ぐという話です。
 
阪神淡路大震災をきっかけに書かれた短編らしいので、地震が大きなテーマになっています。
 

村上春樹は基本的に、社会的な事件や災害を正面からは描きません。
 
地震についても、「かえるくん」というゆるキャラ的な登場人物を使って、深刻になりすぎないようにしていますね。
 
 
ただ、今後ぜったいに地震は起こるでしょうし、かえるくんはもう助けてくれないかもしれませんね……。

13位 納屋を焼く

(納屋を焼くはこの本に収録されています。▲)
 
意味不明な短編です。
 
 
納屋にガソリンをかけて焼くのが趣味だと言う男が出てきたり、彼女が消えてしまったり……。
 
ぜんぜんわからないのですが、日本よりも海外で人気のようですね。
 
 
ちなみに、「納屋」は英語でbarnです。
 
つまり、英語版のタイトルの「Barn Burning」とは、おそらく、だじゃれ、というか親父ギャグですね。
 
この短編はホント、よーわかりません。

14位 中国行きのスロウ・ボート

 
村上春樹が、いちばん最初に書いた短編です。
 
 
最初の短編が、中国の話とは驚きですね。
 
村上春樹の作品には、たしかに中国人はたくさん出てきます。(なぜか韓国人はあまりいない)
 
 
作中で登場する中国人が、

「もちろん私たち二つの国のあいだには似ているところもありますし、似ていないところもあります。ー中略ー でも努力さえすれば私たちはきっと仲良くなれる、私はそう信じています。でもそのためには、まず私たちはお互いを尊敬しあわねばなりません。それが……第一歩です」

──と言うのですが、日中関係が冷え込む今、改めて意味をもってくる文章ですね。
 
 
そして、最後には、

友よ、中国はあまりにも遠い。

──という諦めのような文章も出てきます。
 
村上春樹の中国への思いがわかる短編ですね。

15位 ゾンビ

(ゾンビはこの本に収録されています。▲)
 
この短編は、たぶんマイケルジャクソンのパロディーですね。
 
ストーリーが、マイケルジャクソンの『スリラー』のPVとそっくりです。
 
 
ゾンビ&夢落ちのストーリーですが、村上春樹もこんなものを書いたことは忘れているでしょうね。

村上春樹は短編も読みやすい

「村上春樹は読みやすい」とよく言われますが、それは短編でも同じことです。

長編が「ハルキ・ワールド」とするなら、短編は「ミニ・ハルキ・ワールド」です。
 
あなたもぜひ、「ミニ・ハルキ・ワールド」を体感してみましょう!
 
 
さいごに、村上春樹の短編小説集を一冊だけおすすめするなら、『象の消滅』がおすすめです。▼

 
海外で人気の高い村上春樹の短編のベストコレクションです。
 
「とりあえず村上春樹の傑作短編だけ読みたい」という人には、これ一冊で十分です。
 
 
本のページも黄色になっていて、インテリアとしてもかっこいいのでおすすめです。▼

 
 
 
以上! 最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!