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【書評】『夫のちんぽが入らない』|「ふつう」のセックスってなに?

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こんにちは、タロンです。
 
 
 
タイトルがど真ん中ストレート三者連続三振すぎて読むのが怖かったのですが、『夫のちんぽが入らない』という本を読みました。
 

 
現在40代の女性著者が、「夫のちんぽが入らない」ことに衝撃を受けて以降の人生を本音で語る、いわゆる「私小説」です。
 
 
 
セックスの話題は、普段は抑圧されていて、なにが「ふつう」なのかわからないですよね。
 
 
「多様性の時代」と言いながらも、セックスにおいては多様性がぜんぜんなく、「ふつう」以外のセックスは許されざるものという風潮がある気がします。
 
 
著者は、「夫のちんぽが入らない」ことに衝撃を受けて以降、教師の仕事を辞め、夫と「セックスのない関係」を今でも続けているそうです。
 
 
読者に最もショッキングなのは、やはり「夫のちんぽが入らない」ことに気づいた初夜のシーンだと思います。
 
 
その場面を引用します。▼
 

最初何をふざけているのだろうと不思議に思った。
 
でん、ででん、でん。
 
まるで隠部を拳で叩かれているような振動が続いた。なぜだか激しく叩かれている。じんじんと痛い。このままでは腫れてしまう。今そのふざけは必要だろうか。彼は道場破りのように、ひたすら門を強く叩いている。
 
やがて彼は動きを止めて言った。
 
「おかしいな、まったく入っていかない」
「まったく? どういうことですか」
「行き止まりになってる」
 
しかし実際に私たちはさっきから、ただ、ぶつかり合っているだけだ。拳と壁。道場破りと閉ざされた門扉。融合する気配は微塵も感じられない。
 
セックスというものは誰でもできるものではなかったか。犬や猫や馬だって、ちゃんとできている。「入らない」とは、「行き止まり」とは、なんだろう。私の想像していたセックスとずいぶん違っている。驚きと恥ずかしさでいっぱいになり、お互い言葉を失った。

 
 
「でん、ででん、でん。」などという無機質なオノマトペが、いまだかつてセックスシーンに使われたことなんてなかったに違いないですね。
 

セックスシーンで「でん、ででん、でん。」はかなり、びっくりしました。

 
「男性が拳=道場破り」・「女性が壁=閉ざされた門扉」という、うまい比喩もバッチリ決まっています。
 
 
 
その後、著者は男性の拳を受け入れるために、自分の門扉を開こうとしますが、結局、その願いは果たせませんでした。
 
 
それどころか、著者は36歳という若さで閉経してしまいました。
 
 

36歳にして、どうやら閉経した。
 
20代や30代で月経が来なくなることを早発閉経と言うらしい。
 
ちんぽが入らない上に閉経してしまった。

 
女性にとって、36歳の若さで、「子供を作れないような体に変わってしまう」とは、どんな感覚なのでしょうか。
 
 
著者は、この閉経に対して、ハッピーともアンハッピーともつかない冷静な記述で本書を終えています。
 
 
 
『夫のちんぽが入らない』という、あまりにもストレートなタイトルに思わず笑ってしまった人でも、本書の内容を笑える人はいないでしょう。
 
 
セックスにもっと多様性が認められればいいのになあ……と痛感する本でした。
 
 

 

 

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