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『空が青いから白をえらんだのです』感想 詩って意外とおもしろい

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僕は詩にほとんど関心がないんですが、この本はけっこう魂にひびくものがありました。

実は以前、奈良少年刑務所に見学に行ったことがあるのですが、これはそのときに買った本なんです。

著者の寮 美千子さんは童話作家で、奈良少年刑務所で取材をされていたそう。

この本の中には、受刑者たちの書いた「詩」がおさめられています。

罪を犯した少年たちはどんな詩を書いたのか……。
少しでも気になる人は、買って損はないですね。

ここでは、僕が気に入った詩を1つ紹介したいと思います。


恥曝(はじさら)しの末路


ぼくは風船人間

今現在 気体を注入されて 膨らんでいます

けれども その気体は水素なんて 立派なものではなく

憂鬱 倦怠 厭世観 るさんちまん といった

有害物質を数多く含んだものです

注入が終われば、やがて空へと飛んでいき

黒い烏(からす)のの嘴かなにかで突っつき破られるでしょう

風船人間が始末に負えないのは
破られた後も周囲の空気を汚染し続けて

その存在がなかなか失われないところにあります

一読して僕はびっくりしました。

こんな含蓄に富んだ詩を書けるなんて、才能というしかないですよね。

風船人間というのは、罪を犯した自分のメタファーなのでしょうか?

中には清浄な空気ではなく、有害物質が詰まっているというのも、罪を犯した当時の少年の心情を語っているのかも。

これ、いくらでも読み取れますよね。

多数の解釈の余地がある文章というのは、めったにお目にかかれません。

この詩を読んだだけでも、この本を買った甲斐がありました。






ちなみに、奈良少年刑務所に見学に行った際に、著者本人にサインしてもらいました。 f:id:pineapple-bomb:20200124170841p:plain



著者の方とも少しだけお話ししたのですが、とても慈愛にあふれた優しい人でした。

こんな人になら、あるいは少年刑務所の子供たちも心を開くのかなあ、と思わされました。