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【全集読んだ俺が決める】筒井康隆おすすめランキング10選(長編)

筒井康隆 おすすめ 長編 小説

筒井康隆は、僕が高校生の頃から愛読している作家です。

筒井康隆全集(⬆︎⬆︎⬆︎の写真)は、何度も読み返してました(何度読み返してもおもしろいんだ、これが)。



人生で大切なことはすべて筒井康隆に学んだ僕が、筒井康隆おすすめ小説ランキングを発表します!

時間がある人へ

10位〜4位までは筒井康隆をより深く読みたい人向けです。

これを全部読めれば、筒井康隆のかなりコアなファンになれますよ。

10位 虚人たち



小説って、必ず場面が省略されていますよね。

たとえば──
登場人物がトイレをするシーンを、毎回いちいち細かく書いている小説なんてありません。 移動シーンも省略されがちですし、セックスシーンを省略することもよくあります。

そこで、筒井康隆は考えた。

「もし、小説を省略せずに書いたらどうなるんだろう?」

そして生まれたのが、この小説。



細かいことまで省略せずに書かれているので、正直かなり読みづらい。

おすすめなんだけど、おすすめできない作品なんです…!



しかし、これを読み終えたあなたは気づくはず。

「日ごろなにげなく過ごしている日常を文字にすると、こんなにも情報量が多いなんて!」──と。

世界にも例がない実験的な作品です。
読むか読まないかはあなた次第。

9位 愛のひだりがわ

少女の成長をえがくジュブナイル小説。

時をかける少女の姉妹版と言ってもいいかも


犬と会話をできる超能力を備えた少女が、仲良しの大型犬を連れて、無法地帯をかけめぐって成長していくストーリーです。

その大型犬と少女は会話ができるので、コンビネーションはばつぐん。
二人三脚(?)で危機を乗り越えていきます。

僕がすごいな、と思ったのはラストのオチ。


「マジかよ」と思いましたね。

「成長するとは、なにかを失うことである」

──僕はこの小説でそれを学びました。

あ、ちなみに大型犬が殺されてしまうとか、そんな安易なオチではありませんよ!


もっともっと悲しいラストです。

8位 敵



妻に先立たれて、ひとりぼっちになった老人を淡々と描く小説です。

これがねえ、怖いんですよ。
老人の孤独さっていうかなんていうか……。

主人公の老人は世間との付き合いはけっこうあって、パーティーに行ったりもするんですが、

彼の生活にはすでに「社会を支える労働力になれなくなったという喪失感」が、みなぎっているんです。

老人は、誰しもこんな喪失感があるのかも


そして、最後まで読んでもタイトルの「敵」とは誰のことなのか分からない。

老人にとっての敵とは、世間?若者?自分自身?それとも、自分を置いて先に死んでしまった妻?



僕は20歳くらいでこの小説を読みましたが、それが分からなかった。他の人の感想を聞いてみたいものです。

そして、ラストシーンは、怖いです。

最近はけっこう「孤独はすばらしい」みたいな風潮がありますが、老人の孤独は本当にすばらしいのかどうか怪しいぞ……。


ラストシーンのヒントを出しておくと、
「死都死都死都死都」です。

なんすか、その呪文は…


読めば、意味がわかるはずです。


外国語に翻訳不能、日本語でしか読めない孤独の怖さをお楽しみあれ。

7位 残像に口紅を



最近、カズレーザーさんの紹介で有名になった小説ですね。

少しずつ文字が消えていく世界。「あ」が消えれば、「愛」も消える。

「ら」が消えれば、「ラーメン」が消え、「か」が消えれば、「蚊」も消える。

「文字落としの小説」とも呼ぶそうです

ついには、娘の名前の一部が消えてしまい、娘の存在そのものも消えてしまう(ちょっとうろ覚えなので間違ってるかも)。

消えた娘の残像に、主人公はそっと口紅をさしてやる。

それが、この小説のタイトルの由来です。

この小説は、差別語の検閲が厳しくなって、思うように文章を書けなくなってきた作家の苦境を描いているのだ、とする都市伝説もあります。

あなたはどう読まれるだろうか?

6位 ビアンカ・オーバースタディ



筒井康隆初のラノベ小説です

ウニの生殖の研究をする超絶美少女が、ちょっと危険な生物学の実験研究にのめりこむ。

「男子のあそこってどういう仕組みになってるの?」という純粋な好奇心から、男子への突撃実験を開始していくという流れの小説です。

overstudy 〜を勉強しすぎる

ま、この小説はわざわざ詳しく語らなくても……わかるよね?

5位 大いなる助走



直木賞に落選した作家が、逆恨みで選考委員を殺していくという大虐殺ストーリー。

文壇について茶化したり馬鹿にしたりするような描写がたくさんあるので、他の小説家を敵に回してしまったといういわくつきの小説です。

松本清張がこの小説にブチ切れたのは有名な話

「まさか、自分の書いた小説が落とされたくらいで、逆恨みで何人も人を殺すなんてありえないよね」



最近まで、僕はずっとそう思ってました。

でも……。
起こってしまいましたね。これと似たような動機の事件が。実際に。

詳しくは言いたくないのですが、2019年に起こったアニメ界を揺るがす大事件のことです。

現実がどんどん小説に追いついてくる時代なんでしょうかね……。

4位 48億の妄想



街中のいたるところに設置されたカメラにかっこよく自分を映すために、あらゆる人間がドラマを演じるように振る舞いつづける近未来を描いたSF小説。

「え、現代社会と同じじゃん」って思いませんか。

まさに48億総youtuberですね!



僕たちが、youtubeやインスタグラム、tiktokなどで、いつもより自分をカッコよく見せようと努力しているのは、公然の事実。

この小説に出てくる人たちも、カメラにカッコよく映ろうと、素の自分ではない何者かを演じているのです。
それも48億人みんなが。

今や、48億人どころか、世界の人口は75億人をとっくに超えてますけどね……。

動画の時代を見事に予言したSF小説です。

予言書として読むと、おもしろいはず。

とくにおすすめの3冊

忙しいあなたは、ぜひこの3つだけでも読んでほしい。

3位 七瀬シリーズ

これは全3部作のシリーズものです。







書いてないのでわかりにくいんですが、上から順に1巻、2巻、3巻です。

主人公の七瀬は、人の心を読めてしまう精神感応能力者(テレパス)の女性。



七瀬のなにが大変かっていうと、恋愛ができないんですよ。

だって、男の考えが読めてしまうから。
男が汚い欲望を抱いているのをすぐに感知してしまうから。

寄ってくるのは、頭の中で七瀬を裸にして自分のものにしようとしている男ばかり。

そんな男性嫌いの七瀬ですが、ついに愛せる男に巡り合います。

超能力者の恋愛小説といえば、僕はこれがいちばんだと思いますね。



POINT

特におすすめなのは七瀬シリーズ第一巻の『家族八景』です。



七瀬がお手伝いさんとして、いろんな家に住み込みで働くことになるんですが(超能力のことは秘密で)、これが怖いのです。

表面上はいい家族でも、内心ではおそろしい憎悪を抱いている家族それぞれの心が、七瀬には読めてしまうのです。

家族とは「最も近しい他人」なんだなーと、僕は思いましたね……。



1冊だけ読みたい場合は、『家族八景』をおすすめします。


2位 旅のラゴス



個人的に、ジブリに映画化してもらいたい作品No. 1なんですが、残念ながら、ジブリどころか映像化さえされてませんね。

世界観としては、天空の城ラピュタやハウルの動く城に近いです!



現在の文明が崩壊した未来? を1人の男が旅するというストーリーです。

ただ、旅先で会う人はみんな一期一会です。


女性と親しくなっても、ラゴスは「俺は次の旅に出かけないといけない」と言って、女性を置いてこっそり旅に出てしまいます。

ラゴスにとっては、「恋愛<旅」なのです。

このへんは、恋愛よりも趣味を大事にしがちな最近の?若者に近いのかもしれません。



決して定住せず、渡り鳥のように各地を転々と旅するラゴスに共感する人は多いはず。

自分の所属するコミュニティ(会社や職場、家族など)に息苦しさを感じた時には、これを読みましょう。


ぜんぶ捨てて旅をしたって、いいんですよ。



⬇︎⬇︎⬇︎『旅のラゴス』をヒントに、転職について書きました。

1位 霊長類南へ



だいぶ昔の作品で、これをランキング上位に持ってくる人は少ないと思いますが、僕は大好きな作品。

ひょんなことで、世界最終核戦争が起こってしまい、地球上がどんどん放射能で汚染されていく様子を描くパニック小説。

人間1人1人は賢いのですが、群集になると衆愚になってしまう様子がおもしろい。

人類で最後に生き残った男が、「nonsense…」とつぶやいて死んでいくシーンが好きです。

そして、この小説のラストシーンなんですが、これがうまいんですよ。


ネタバレではないと思うので言いますが、ラストシーンに登場するのはゴキブリです。

しぶとい生命力で人間よりもはるかに長い歴史を生きてきたあのゴキブリでさえ、放射能の脅威には勝てずに死んでいくのです。



人類の大先輩であるゴキブリの死に様を、ぜひ読んでみてください。

個人的に、世界の終末を描いた小説が大好きなので、この小説が1位です。

【まとめ】筒井康隆は最高におもしろい

全集を何度も読み返すくらい筒井康隆が好きだったので、ランキングを作るのは大変でした。

筒井康隆はもう50年近く現役で小説を書いている人ですから、作品量はとっても多いです。

全集を読んでいると、「あ、これはちょっと失敗作だな」と思えるような作品も入っているのですが、駄作のほうがかえって作家の考えがダイレクトに反映されていたりするので、駄作のほうがおもしろかったりします(矛盾するけど)。



あー、こんなランキング書いていると、また筒井康隆を読みたくなってきた。

ということで、『旅のラゴス』を再読してきます。

あなたもぜひ読んでください!